ロードサイド店舗の賃貸借契約書、これで安心!チェックポイント徹底解説【前編】

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ロードサイド店舗の賃貸借契約書、これで安心!チェックポイント徹底解説【前編】

今日のロードサイド店舗の教室では、多くの人が見過ごしがちな**「賃貸借契約書のチェックポイント」**についてお話しします。皆さんは、iPhoneの利用規約やクレジットカードの規約を隅々まで読みますか?おそらく、多くの方が読まずに「はい」とクリックしたり、サインしたりしているのではないでしょうか。賃貸マンションの契約書さえ読まない人もいるかもしれません。

しかし、ロードサイド店舗の賃貸借契約書は、一般的な契約書とは大きく異なります。なぜなら、貸主と借主の双方が「ああでもない、こうでもない」と言いながら、何度も交渉して作成されるものだからです。iPhoneの利用規約や銀行の金銭消費貸借契約書のように、こちらがいくら言っても変更できないものとは違い、ロードサイド店舗の賃貸借契約書は、互いの意見を聞きながら変更していくのが特徴です。だからこそ、しっかりと内容を理解し、チェックすることが非常に重要になります。

ロードサイド店舗の賃貸借契約書で特に大切なことが3つあります。

  • 「必ず成功する」と考える時こそ、「失敗した時」を具体的に考える。
    • テナントが予想通りに売上を上げられず、撤退を考えている時に、違約金や立ち退きの話をしても、なかなかまとまりません。
    • しかし、「これから出店する、必ず成功する」と思っている段階で、もし失敗した時のことを話し合っておけば、スムーズに合意形成ができます。テナントが中途解約する際には、地主がテナントの希望通りの建物を建築しているケースが多いため、場合によっては多額のペナルティが課されるのは当然のことです。
  • 数字が合意していても、最後の詰め(契約書のチェック)で破談にしない。
    • 賃料やテナントの事業計画に申し分がないと地主が考えているのに、弁護士の先生が最後の情報変更を主張し、契約が破談になることがあります。
    • 地主自身が契約したいと考えているテナントに対し、相手が受け入れられないような要求をしていないか、考えることが大切です。

では、具体的な条文の例を見ていきましょう。

賃貸借契約書のチェックポイント(条文例)

  1. 引渡し・担保提供の禁止
    • 一般的な条文では、「本物件の完成後速やかに本物件を乙に引き渡すものとします」と規定され、引き渡し後(オープン後)は、担保提供が禁止されないことが多いです。
    • 重要なのは**「前項による引き渡しを終えるまで」**という表現が含まれているかどうかです。この一文があることで、オープンするまでの売買や担保提供が禁止されることになり、オープン後もずっと制限される契約書に比べて、問題が少ないとされます。
    • 逆に、賃貸借期間中ずっと売買などが制限されるような契約書は、非常に問題です。この文言の有無で意味が全く変わってくるため、注意が必要です。
  2. 賃貸借期間
    • 多くの賃貸借契約では、期間満了の数ヶ月前までに更新拒絶の意思表示がなければ、同一内容で契約が自動更新されると定められています。
    • もし、地主側がどうしても更新したくない場合は、「定期借家契約」にする必要があります。
    • ただし、地主さんの中には「定期借家で契約しておいて、更新したくなくなったら更新を拒絶すればいい」と考えている方がいますが、これは誤解です。定期借家契約の場合、更新ではなく「再契約」となり、テナントにとっては契約終了直前まで再契約できるか分からないという、非常にハードルの高い契約となります。地主もこの点を理解しておく必要があります。
  3. 賃料の改定
    • 賃料は、土地の価格や物価の急激な変化、近隣の賃料相場、その他の経済状況により大幅な変更があった場合に、貸主と借主が協議の上、改定できるとする条文が一般的です。
    • バブル崩壊後の25年間、テナントの賃料相場は確実に下がってきており、今後もこの傾向は続くと予想されます。
    • このような状況で、地主の中には賃料改定ができない契約を望む人もいますが、その場合、もしテナントの売上が下がったら、テナントには中途解約するしか手段がなくなってしまいます。
    • むしろ、地主にとっても、賃料改定の協議条項を契約書に入れておくことが重要です。大切なのは「協議の場での話し合い」であり、そのための条項は契約書に入れておく方が望ましいと考えられます。
  4. 維持修繕費
    • この条文は、賃貸借期間中、最も読み返す機会が多い部分かもしれません。
    • 基本的な考え方として、物件の維持修繕にかかる費用はテナントが負担しますが、主要構造体(柱、屋根、梁、外壁など)に関する維持修繕費は地主が負担することになっています。
    • 店舗の場合、地主が修繕するケースは雨漏りや主要構造体にかかる部分がほとんどです。
    • 一方、空調、照明、稲など、配管周りの費用はテナントが負担するのが基本です。
    • これらの費用負担については、契約書によく記載しておかないと後からトラブルの原因になるため、十分に注意が必要です。

ロードサイド店舗の賃貸借契約書は、一般的な契約書とは異なり、双方の意見を反映して作られる重要な書類です。トラブルを避けるためにも、ご紹介したチェックポイントを参考に、しっかりと内容を確認してください。

今回の内容は「前編」です。後編もぜひご覧ください!

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