ロードサイド店舗の賃貸借契約書、これで安心!チェックポイント徹底解説【後編】

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ロードサイド店舗の賃貸借契約書、これで安心!チェックポイント徹底解説【後編】

今回は、**賃貸借契約書の「後編」**として、さらに具体的なチェックポイントを深掘りしていきます。前回の内容と合わせて、このブログが皆さんの契約書チェックの強力な手助けとなることを願っています!

1.賃貸借契約書、どう読む?声に出して、複数人で!

契約書を読む上で、まず最も大切なことは何だと思いますか?それは、**「声に出して読むこと」**です。黙読では気づかなかった細かな点や疑問が、声に出して読むことで浮かび上がってくることがよくあります。

さらに効果的なのは、**「誰かに読んでもらって自分が聞く」、または「自分が読んで誰かに聞いてもらう」**という方法です。二人で行うことで、非常に大きな発見や気づきがあるはずです。ぜひ実践してみてくださいね。

2.テナントの禁止事項と、その「ただし書き」の重要性

契約書には、テナント(乙)が「してはならない行為」として、以下のような禁止事項が記載されています。

  • 本物件の改造、増改築、模様替え
  • 本物件の賃借権を第三者(子会社・関連会社を除く)に譲渡すること
  • 本物件を第三者に転貸すること

しかし、ここで注目すべきは、これらの禁止事項の後に続く**「ただし、甲(貸主)の書面による事前の承諾を得た場合はこの限りではない」**という文言です。これは、貸主の承諾があれば、これらの行為が可能になるということを意味しています。単なる禁止事項として捉えるのではなく、「承認を得ればできること」と逆転の発想で考えることが大切です。

3.契約終了のカタチは4種類!「解除」の深掘り

契約が終了する原因は、大きく分けて4つの種類があります。

  1. 契約満了
  2. 中途解約
  3. 契約違反による解除
  4. 不可抗力による終了

この中でも特に重要なのが「契約違反による解除」です。これはさらに2つの種類に分かれます。

  • 催告のうえ解除:違反があった場合に、まず是正を求める通知(催告)を行い、それでも改善されない場合に解除する。
  • 催告することなしに解除:特定の重大な違反があった場合、通知なしに直ちに契約を解除できる。
    • 例としては、テナント(乙)が銀行取引停止処分を受けたり、破産手続きを開始したり、差押えや競売の申し立てを受けたり、公租公課の滞納処分を受けた場合などが挙げられます。

このように、契約終了のパターンや解除の種類を整理して理解しておくことで、契約書の内容がぐっと分かりやすくなります。

4.「中途解約」はテナントと貸主双方に大きな影響

契約期間中に契約を解除する「中途解約」は、特に注意が必要です。

一般的に、貸主(甲)もテナント(乙)も、賃貸借契約期間中に契約を解約することはできないとされています。ただし、一定期間前(例:6ヶ月前)までに書面で相手方に申し入れた場合には、解約が可能となる例外規定が設けられていることがあります。

中途解約は、特に貸主にとって、建築当初の事業計画を狂わせる最大の原因となります。想定外の退店は、収益計画に大きな打撃を与えるからです。このリスクを軽減する方法として、建設協力金の一括返還や、違約金として建設協力金の一部を没収するなどの取り決めが重要になります。テナント側も、中途解約時の条件(例えば、建設協力金の一部が違約金として没収される場合など)をきちんと理解しておくことが非常に大切です。

5.明渡しと造作撤去、契約と現場の「差」を知る

契約終了時の「明渡しおよび造作等の撤去」についても、細かな規定があります。

  • テナント(乙)は、契約終了後、速やかに物件を原状に回復して明け渡す義務があります。
  • 明渡しが遅れた場合、テナントは使用していなくても、契約終了時の賃料の倍額に相当する損害金を支払うことになります。
  • テナントは、必要費、有益費、移転料、営業権、保証料など、いかなる名目であっても貸主に対し金銭等の請求は一切できないとされています。
  • テナントが設置した造作物、設備、看板などは、テナントの費用で撤去するのが原則です。

しかし、ここで契約書の記載と実際の現場との間に「ズレ」が生じる可能性があります。契約書上は「テナントは退店時に設置した設備や什器を撤去し、原状回復して明け渡す」と書かれています。ですが、貸主(大家さん)にとっては、次のテナントを誘致しやすくするため、空調や照明、調理器具、テーブルなどの家具や什器をあえて残してもらいたいケースがあるのです。

逆に撤去してもらう必要があるケースもあり、それは**「次にどのようなテナントが入るか」によって変わってきます**。次のテナント次第で、設備などを残置してもらうかどうかを貸主が判断することになるわけです。もし残置がOKとなれば、テナント側は撤去費用がかからずに済みます。このように、契約書には**「厳しい方の原状回復」を約束させる形で記載されている**ことが多いと理解しておくと良いでしょう。

ちなみに、テナントは「借地借家法第33条の造作買取請求権」を行使しないものとする、という条項も確認しておきましょう。

6.ロードサイド店舗の契約書は「特別」!専門家と進める大切さ

ロードサイド店舗の賃貸借契約書は、他の一般的な不動産賃貸借契約書と比べて**「ある意味で特別」**だと言われています。不動産業者がよく使う標準的な契約書では、対応できないケースも多いのです。

テナント側から提示される契約書には、テナントの都合の良いことばかりが書かれていると考えるのが妥当でしょう。だからこそ、一から双方で作り上げていくという意識が大切になります。そして、この複雑な契約を適切に仲介できる専門家や、相談できるコンサルタントがいることが、何よりも重要になってくるのです。

まとめ

賃貸借契約書は、将来のトラブルを避けるためにも、細部まで理解し、納得した上で締結することが不可欠です。特にロードサイド店舗のような特殊な物件では、専門知識を持ったパートナーの存在が成功の鍵を握ります。

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