ロードサイド店舗の変遷:知られざる歴史と未来への展望

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ロードサイド店舗の変遷:知られざる歴史と未来への展望

今回は、私たちの生活に密着している「ロードサイド店舗」について、その歴史と変遷を深掘りしていきたいと思います。ロードサイド店舗とは、郊外にある駐車場付きの店舗のことです。30年以上にわたりこの分野に携わってきたベテランコンサルタントの方が、その歴史を語っています。

黎明期:ロードサイド店舗の「第一号店」とは?

「ロードサイド店舗の第一号店は何か?」という問いに対して、コンサルタントの方はケンタッキーフライドチキンを挙げています。これは大阪万博の直後、1971年頃に誕生したと考えられています。当時、土地のオーナー(地主さん)に「20年間ケンタッキーフライドチキンが借りてくれますよ」と提案したところ、すぐに建築の契約が結ばれたとのこと。これが、土地活用としてのロードサイド店舗の始まりだったようです。

成長期:バブル崩壊をも乗り越えた「郊外」の力

コンサルタントの方が大和ハウス工業に入社した1988年頃は、まさにロードサイド店舗の出店が加速していた時期でした。

当時よく出店していた業種は、**「靴・服・メガネ」**と総称されていましたが、それ以外にも以下のような店舗がどんどん進出していきました。

  • スポーツ用品店などの物販専門店舗
  • ファミリーレストラン
  • カー用品店
  • ドライブスルー併設型のファストフード

これらは、郊外に所有されていた空き地や駐車場、農地などの土地活用として次々と建てられていきました。特筆すべきは、1991年のバブル崩壊後も、ロードサイド店舗はむしろ増え続けたということです。これは、「長期安定収入の土地活用」として魅力的な選択肢だったためと考えられます。

転換期:2000年代以降の大きな変化

2000年になると、コンサルタントの方は大和ハウス工業を退職し、ロードサイド店舗専門の不動産仲介業である株式会社店舗bを立ち上げました。この時期に、ロードサイド店舗を取り巻く環境は大きく変化します。

  • 2000年:大店立地法の施行とショッピングモールの誕生
    • 大型のショッピングモールが次々と誕生しました。
    • 初期投資がかかるロードサイド店舗から、ショッピングモールへの出店戦略へと切り替えるテナントが現れ始めました(特に物販店舗)。
  • 2001年:ITバブル崩壊
  • フランチャイズの加速とドミナント戦略
    • 一方で、焼肉の牛角やまいどおおきに食堂といった飲食店を中心に、フランチャイズでの出店が加速しました。
    • コンビニエンスストアを中心に、一つのエリアに集中して出店する**「ドミナント戦略」**が積極的に行われたのもこの時期です。

新たな局面:「居抜き店舗」の台頭とコンビニ大量閉店

2008年のリーマンショックは、ロードサイド店舗の出店戦略に大きな影響を与えました。テナントは出店コストを抑えることを重視するようになり、それまで新築が当たり前だったロードサイド店舗において、**「居抜き店舗」**への出店が一気に広がりました。

  • ステーキのけんの登場:2010年頃から、ファミリーレストランの「ステーキのけん」が、居抜き店舗や書店の居抜き出店を始め、「ロードサイド店舗のハイエナ」とまで言われ、マスコミで大きく取り上げられました。これを機に、飲食・物販問わず、あらゆる業種で居抜き出店が普及していきます。
  • 良い立地の枯渇:また、新築で出店したいと思えるような「良い立地」の空き地や駐車場、農地がほとんど残っていなかったことも、居抜き出店が広がる原因となりました。

そして、2015年頃からはコンビニエンスストアの出店競争が激化します。他の業種よりも高額な賃料を提示できたため、地主さんはこぞってコンビニを建築するようになりました。しかし、2019年にはコンビニエンスストアの大量閉店が報じられ、コンビニ居抜き物件が大量に発生するという事態になりました。

そして現在:予測不能な時代と生き残る戦略

2020年頃からの大きなショック(おそらく新型コロナウイルス感染症を指していると考えられます)により、ロードサイド店舗は甚大な影響を受けました。特にオリンピックや万博を見越してインバウンド需要を期待し、高額な賃料が見込めた民泊やホテルなどは非常に厳しい状態に陥っています。

飲食店や物販店のほとんどが厳しい状況にある中、ドラッグストアや一部のスーパーなどは売上を伸ばしているところもあります。

コンサルタントの方は、**「数年先の予測はとても無理」**と本音を語っています。しかし、世の中がどのように変化するか分からないからこそ、誰よりも早く情報を入手し、この変化を掴むことが可能だと述べています。

ロードサイド店舗を取り巻く環境は常に変化しています。しかし、その変化をいち早く察知し、対応していくことが、これからの土地活用や収益物件を検討する上で非常に重要だと言えるでしょう。

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