不動産投資に興味がある皆さん、収益物件の購入を検討する際、何を基準にしていますか?多くの方が「利回り」と答えるのではないでしょうか。
今回は、「不動産投資の利回り」に潜む意外なカラクリと落とし穴について、掘り下げていきたいと思います。
利回りってそもそも何?
まず、基本の確認です。 「利回り」とは、年間家賃収入 ÷ 物件価格で算出される数値のことです。
例えば、年間900万円の家賃収入がある9000万円のマンションなら、利回りは10%になります。この利回りは、地域や年度によって相場が異なりますが、仮に収益マンションの相場が8%から10%だとすると、投資家はより有利な10%の物件を探しがちです。
売り手が仕掛ける「利回りのカラクリ」とは?
ここからが本題です。 買い手が「利回り」を重視していることを、売る側は当然知っています。これを逆手に取った売り手の戦略があるのです。
想像してみてください。年間家賃収入900万円、価格9000万円で利回り10%のマンションがあったとします。この物件は利回り相場から見て売れやすい物件です。
しかし、売り手はこう考えます。「もし家賃収入が年間100万円増えて1000万円になれば、この9000万円のマンションを1億円で売ることができる!」と。なぜなら、買い手は利回りに注目しているからです。年間100万円の家賃アップは、1ヶ月あたり約8万3千円の家賃アップに相当します。
つまり、売り手は「この売ろうとする一瞬だけ、家賃収入が8万3千円高ければ、1000万円高く売れる」と考えることができるのです。
買い手にとっての大きなリスク!
では、買う側にとっては何が問題なのでしょうか? 買い手は、その収益物件を購入したら、今後ずっとその8万3千円高い家賃を維持していかなければなりません。
さらに恐ろしいのは、もし将来的に家賃収入が8万3千円下がってしまうと、物件の価値が1000万円も下がってしまうということです。これは非常に怖いポイントです。
不動産収益物件を購入する人の判断基準が「利回り」にあるということは、売る側からすれば「大変取り組みやすい相手」、つまり狙いやすい相手になってしまうのです。
まとめ
「利回り」は不動産投資の重要な指標の一つですが、その数値だけを鵜呑みにするのは非常に危険です。特に、購入直前の一時的な家賃アップに惑わされないよう注意が必要です。
今回ご紹介した利回りのカラクリは、ロードサイド店舗の収益物件や土地活用の建築投資の際に、さらに危険な側面があるとのことです。これについては、また別の機会にお話しできればと思います。
賢い不動産投資のために、表面的な利回りだけでなく、その家賃収入が本当に継続可能か、将来的なリスクはないかといった点をしっかりと見極めることが重要ですね。