土地活用を検討される中で、「コンビニエンスストア」の出店を考えたことはありますか? 「家賃が高い」というイメージがある一方で、「閉店が多いのでは?」という不安を持つ方も多いかもしれません。
今回は、そんなコンビニエンスストアのロードサイド店舗に焦点を当て、地主様の立場からメリット・デメリット、そして注意点について深掘りしていきたいと思います。
コンビニ業界の現状と「高賃料」の背景
最近、ニュースで「コンビニの大量閉店」や「出店ペースの鈍化」を目にすることが増えましたよね。2019年10月にセブンイレブンが大量閉店を発表して以降、大手3社の出店ペースは確かに落ち込んでいます。既存店では家賃の減額交渉も多いようです。
しかし、それでもコンビニエンスストアの賃料は、他の土地活用における店舗に比べて高い水準にあると言われています。
ロードサイド型店舗の規模感
私たちが今回考える「ロードサイド型店舗」は、主に郊外に多く見られます。
- 敷地面積: だいたい300坪から、郊外では600坪以上になることもあります。
- 建物: 約50坪。最近はイートインスペースを設ける店が増え、少し大きくなる傾向にあります。
- 建築費: 外構工事を除いた本体工事だけで、2,000万円から2,500万円程度が目安です。
気になる賃料は地域差が大きく一概には言えませんが、1年前と比べてやや抑え気味の傾向があるものの、やはり他の業種と比較すると高賃料なのが特徴です。
地主様にとっての大きなメリット:建築費の負担なし!
コンビニ出店における最大の魅力の一つは、地主様側の建築費負担がほぼないという点です。 コンビニエンスストアは、基本的に「建設協力金」として建築費の全額を負担してくれるか、または「事業用定期借地」によって出店します。
つまり、地主様は自己資金や借入金を使わずに建物を建てることができ、いわゆる「リスクのない土地活用」ができるテナントだと言えるのです。
懸念される「中途解約」の真実と、その背景
「賃料は魅力的だけど、コンビニってすぐ閉店するイメージがあるから心配…」そう考える地主様は少なくありません。実際のところ、中途解約率はなかなか正確なデータで示せませんが、私の感覚としても、コンビニの中途解約の確率は他の業種と比べて高いように感じています。
では、なぜコンビニは中途解約や閉店が多いのでしょうか?
- 激しすぎる競争: 一番の理由は、各コンビニ間の競争が激しく、競合店がすぐに近くにできてしまうことです。コンビニは「証券が狭い(商圏が狭い)」業種なので、密集して出店しても成り立つという側面がありますが、それが裏目に出て、競合店が近くにできると閉店につながってしまうのです。
- 加盟店の儲からない問題: 「本部は儲かっているけれど、加盟店は儲かっていない」という話もよく聞きます。加盟店の脱退が閉店につながるケースも多いようです。
しかし、ここで皆さんに一つお伝えしたいことがあります。私の知る限り、コンビニの全ての中途解約物件は、契約書に定められた内容通りに解約されています。例えば、契約時に建設協力金の全額を支払っていて、中途解約時にはその残金を放棄するという契約になっていれば、必ずその通りに退店しています。
つまり、中途解約は「ある意味、想定内の出来事」と考えることもできるのです。
閉店後も「大失敗」にならない理由
もしコンビニが退店してしまったら、その後の土地活用はどうなるのでしょうか?
コンビニが退店した後の建物は、多くの場合「居抜き店舗」として貸し出されます。確かに、コンビニとして貸していた時のような高い賃料で貸すことは難しいかもしれません。しかし、コンビニの建物は使いやすい構造をしているため、その後も居抜き店舗として、相場通りの賃料で貸すことは十分に可能です。
このように考えると、コンビニを誘致して建築したことが、「大きな失敗」には繋がりにくいと私は考えています。
コンビニ活用で「注意すべき」2つのポイント
とはいえ、土地活用でコンビニを考える際には、注意すべき点が2つあります。
- 高すぎる賃料に過度な期待をしない コンビニの高い賃料をあてにして、利回りを高く計算し、高額な建築費を支払ってしまったり、高額な収益物件を購入したりするのは危険です。もしコンビニが退店して賃料が相場通りになった場合、収支が赤字になったり、銀行への返済額よりも家賃が少なくなったりするケースが多々あります。「コンビニの高い賃料が必ずいつまでも続く」とは考えない方が良いでしょう。
- 立地による「居抜き物件」の難易度 郊外の広い土地(600坪、800坪クラス)や、市街化調整区域などの土地にコンビニが出店している場合があります。こういった物件は、コンビニ以外には貸すことが非常に難しいケースがあります。コンビニが借りてくれるのはありがたいことですが、もし退店してしまった場合、他の居抜き物件として使えないという事態が起こる可能性があります。実際に、郊外に行くと何年も空きっぱなしになっているコンビニの建物を見かけることがありますよね。農地を宅地にして固定資産税が上がってしまっても、元に戻せないケースもあるのです。
まとめ:「ハイリスク・ハイリターン」という認識のその先へ
「コンビニに貸すことは、賃料は高いけれど、競合店が多く中途解約で退店する確率が高いので、ハイリスク・ハイリターンな土地活用だ」とも言われます。
しかし、私の見解は少し違います。 コンビニに貸している間は、普通の相場で他のテナントに貸すよりも高く貸すことができます。そして、もし中途で退店したり契約期間が満了して退店したとしても、残った店舗は非常に使いやすい建物なので、相場通りの賃料で居抜き物件として貸すことができるのです。
考えようによっては、そんなにリスクもないとも言えます。
もちろん、このような考え方ができる地主様でなければ、コンビニに貸すのは難しいかもしれません。