今回は、建物の所有者さんやこれから不動産購入を考えている方に、**「検査済証(けんさずみしょう)」**という書類の重要性について、とことん深掘りしていきます。
「え、検査済証って何?」と思った方も、ぜひ最後まで読んでくださいね。これが手元にあるかないかで、将来、大きなトラブルに巻き込まれる可能性が激減します!
そもそも「検査済証」って何?
検査済証とは、簡単に言うと**「この建物は建築基準法にちゃんと適合していますよ!」**という国や自治体のお墨付きの証明書です。
建物が完成するまでに、「建築確認」「中間検査」「完了検査」という3つのステップを経て、すべて問題がないと認められた時に発行されます。昔はハガキサイズ、今はA4サイズ1枚の書類ですが、これがとてつもなく重要なんです。
検査済証がないと、なぜ困るの?3つの大きなデメリット!
「別に検査済証がなくても住めるじゃん?」と思った方、甘いです!これが手元にないと、後々、とんでもない不都合が生じる可能性があります。
- 銀行融資が受けにくい! 建物を売却しようとしても、次の買い手さんが銀行の融資を受けにくくなるため、売却しにくくなります。これは大きな問題ですよね。
- 増改築や用途変更ができない! 例えば、事務所として使っていた建物を店舗にしたい、もっと広くしたい、といった場合に、それが認められなくなる可能性が高いです。これではテナントに貸すのも難しくなってしまいます。
- 信頼できる不動産業者が扱えない! 万が一、あなたの建物が「違反建築物」とみなされてしまうと、まともな宅建業者は売買や仲介でその物件を取り扱うことができません。
こうなると、売るに売れない、貸すに貸せない、改築もできない…という「負動産」になってしまうリスクがあるんです。
なぜ検査済証がない建物が存在するの?
発行してもらうのに特別な費用はかからないのに、なぜ検査済証がない建物があるのでしょうか?主な理由は2つ考えられます。
- 違反建築(法律違反) 建築確認申請の図面では合法的な建物を提出したのに、実際には図面と違う建物(例えば、もっと大きいものや異なる用途のもの)を建ててしまったケースです。これでは完了検査を受けられませんよね。
- 工期の短縮 中間検査と完了検査にはそれぞれ約1週間の時間がかかります。つまり、合計で約2週間の工期を短縮するためだけに、検査を受けなかったという信じられない理由も存在します。 「そんなバカな!」と思うかもしれませんが、実は、検査済証がない建物を引き渡したり、使用したりしても、建築会社や建築主に罰則がないのが一番の理由だと言われています。
特に、20年くらい前の建物(2003年頃に銀行が検査済証がない建物に融資を付けなくなった以前)は、約半分もの物件で検査済証が発行されていなかった時期があり、意外と多く存在します。
検査済証がない建物にも3つのパターンがある!
一概に「検査済証がない」と言っても、実は状況は3つのパターンに分かれます。
- 紛失パターン: 完了検査は受けていて、検査済証も発行されたのに、紛失してしまった場合。
- 未受検パターン: 建築確認申請通りの合法的な建物は建っているが、完了検査を受けていない場合。
- 違反建築パターン: 建築確認申請と**異なる建物を建築した(=違反建築物)**場合。
検査済証がない建物の「救済措置」とは?
もしあなたの建物が検査済証がない場合でも、絶望する必要はありません!特に上記の1と2のパターンであれば、解決策があります。
国としても、中古住宅の流通を促し、活用していくという考え方があるため、以下のような動きがあります。
- 「台帳記載事項証明書」の取得 完了検査は受けたものの検査済証がない場合、「完了検査は受けましたよ」という証明の代わりに、役所の建築指導課で「台帳記載事項証明書」を発行してもらえる場合があります。
- 建築士による現地確認調査 これは非常に重要なステップです。民間の機関に依頼し、建築士による現地確認調査を受けます。これは屋根裏の鉄骨や地下の配筋まで調べるなど、かなり詳細な検査になります。 この調査で「違反建築物ではない」「既存不適格建築物(建築時には合法だったが、その後の法改正で現在の基準には合わなくなった建物)」と認められれば、増改築や用途変更が認められる方向に向かっています。ただし、この調査には数十万円単位の費用がかかることもあります。
注意が必要なのは、3の「違反建築物」のパターンです。 この場合、原則としてリフォームは認められません。先述の通り、まともな宅建業者は取り扱わないですし、ごく稀ですが、使用禁止や強制退去となる可能性もゼロではありません。
今すぐチェック!そして、これからの注意点
もしあなたが新築の建物を受け取る立場であれば、引き渡しの際に必ず「検査済証があるかないか」を確認してください。
また、中古物件の購入を検討する際には、わざわざ検査済証がない物件を選ぶリスクを冒す必要はないと覚えておきましょう。
検査済証は、あなたの不動産を「負動産」にしないための非常に大切な書類です。手元になく不安な方は、専門家や役所の建築指導課に相談してみることを強くお勧めします。