土地活用を検討している方にとって、「事業収支試算表」は、将来の収益を予測するための重要な資料ですよね。賃貸マンションや店舗の建築を考える際、建築会社から提示されるこの試算表を見て、「よし、これなら安心だ!」と思われた方もいるかもしれません。しかし、本当にその試算表は判断材料として信用できるのでしょうか?
今回は、事業収支試算表の「落とし穴」について深掘りしていきます。
衝撃の結論:事業収支試算表は「何の役にも立たない」?!
この事業収支試算表は、「何 の 役 に も 立 た な い」、そして**「地主さんの判断を誤らせるもの」** だと思っています。会社を経営してからは、この試算表を営業で使ったことは一度もありません。銀行や税理士から提出を求められることはあっても、これを「判断材料にしてください」と説明することはありません。
なぜ事業収支試算表は地主を誤らせるのか?3つの大きな理由
事業収支試算表が地主の判断を誤らせると考えるのには、主に以下の3つの理由があります。
- 試算表は作成されたきり、見直されないのが実情?! まず、作成された試算表が、建物完成後に**「見直しされているのか?」** という点です。20年後や30年後のシミュレーションを作っても、途中でその予測がうまくいっているかチェックしなければ、そもそも意味がありません。残念ながら、建築会社、銀行、税理士、そして地主さん自身も、作成後の見直しをほとんどしていないのが現状ではないか、と問題提起しています。
- 建築会社が「内部留保金」を良く見せる方法はいくらでもある! 地主さんが試算表で最も注目するのは、手元に残るお金、いわゆる「内部留保金」(収入から諸経費や税金を引いた最終的なキャッシュフロー)ではないでしょうか。実は、この内部留保金を多く見せるための「操作」が、建築会社にはいくらでもできてしまうのです。 例えば、以下のような方法が挙げられています:
- 予定家賃そのものを高く設定する
- 空室率を実際よりも良くする
- 銀行からの借り入れ期間を長く設定する
- 借入金利を低く見せる
- 修繕積立金や火災保険の料率を低く見積もる 建築会社は建築費を変えずに、地主さんの要望に合わせてこれらの数値を調整し、内部留保金を**「良く見せる」ことが可能**です。嘘をついているとは言わないが、操作は自由にできる。このような操作された数字で判断して良いのか?ただし、初年度や2年目の収支計算は、税金や諸経費を確認する上で必要です。
- 10年後、20年後の「未来予測」は、現実離れしている?! 試算表に記載される10年後や20年後のシミュレーションは、本当に信用できるのでしょうか? 「家賃が毎年このように上がっていく」 とか、「空室率はずっと何パーセント」 といった仮定自体が、無理がある 。未来の家賃相場や景気変動、競合物件の登場などを正確に予測することは非常に困難です。そのような無理な仮定に基づいた10年後、20年後の累積内部留保金といった数字は、あてにしない方が良い 。3年目以降の試算表は全然役に立たない。
では、地主はどうすれば良いのか?
それは明確です。「もし3年後、4年後、5年後、10年後というのを知りたいと思うなら、自分で計算するしかない」 ということ。建築会社に頑張ってもらうのは、建築のプランと建築費の部分であり、10年後、20年後の資産については、地主さん自身が「自分で考えて判断する」 のが良いのです。
まとめ
事業収支試算表は一見、将来を予測する便利なツールに見えますが、その裏には多くの「落とし穴」が潜んでいます。特に長期のシミュレーションは、あくまで仮定の積み重ねであり、操作の余地があるため、鵜呑みにするのは危険です。 土地活用を成功させるためには、建築プランと建築費は建築会社に任せつつ、将来の収支予測は、ご自身で現実的な数値を基に検討し、判断することが不可欠です。