今回は、家主様にとって非常に有利な「定期借家契約」について、そのメリットと、どんな時に絶対に検討すべきかをお話ししたいと思います。
「定期借家契約」と聞くと、なんだか難しそう…と思うかもしれませんが、これをうまく使いこなせば、将来のトラブルを未然に防ぎ、土地活用をスムーズに進める強力な味方になりますよ!
定期借家契約とは?普通の借家契約との違い
まず、一般的な借家契約では、貸主(家主)からの一方的な解約や更新拒絶は、正当な理由がない限りできません。これは、借主(テナント)の立場が非常に強く保護されているためです。
それに対して、定期借家契約は、貸主の事情によって契約期限が来たら終了させることができます。つまり、家主様にとっては圧倒的に有利な契約と言えるでしょう。
「だったら、全部定期借家契約にすればいいんじゃない?」と思う方もいるかもしれませんが、それは簡単ではありません。なぜなら、テナント側からすると、かなりハードルの高い、不利な契約だからです。テナントがなかなか同意してくれないという現実もあります。
家主様にとっての定期借家契約のメリット
家主様にとって有利な点を整理しましょう。
- テナントからの途中解約を排除できる
- もし特約がなければ、テナントは期間中ずっと賃料を払い続ける義務があります。急な解約で空室になるリスクを避けられます。
- 賃料の増減額請求を排除できる
- 特に最近、賃料の減額を心配される家主様が増えていますが、定期借家契約なら、契約期間中の賃料を固定化できるため、安心して賃貸経営ができます。
- 契約期間満了で確実に契約を終了できる
- 通常の借家契約のように「居座られる」心配がありません。
テナントさんにとってのデメリットと大きなリスク
家主様のメリットは、裏を返せばテナントさんのデメリットになりますが、それ以外にもテナントさんには大きなリスクがあります。
- 契約の延長が保証されない
- 契約更新は家主様次第となるため、テナントさんは店舗への大きな投資(内装工事など)をしにくくなります。
- せっかく店を育てても、継続できる保証がないという不安があります。
このような理由から、テナントさんにとって定期借家の物件は、なかなか出店しにくい物件となるわけです。
それでも家主様が「絶対に」定期借家を検討すべき3つの場面
しかし、どんな状況でも定期借家契約を避けるべきかというと、そうではありません。特定の状況では、定期借家契約はトラブルを回避するための有効な手段となります。特に、家主様が「ぜひ検討すべき」という場面が3つあります。
- 複合店舗の場合
- 一つの建物に複数のテナントが入居している場合、または一つの土地に複数の建物でテナントが出店している場合、「たった一つのテナントだけが退去してくれない」という状況は非常に危険です。
- 敷地全体の利用計画や建物の再計画(建て替えなど)ができなくなってしまうリスクがあるからです。
- 複数のテナントに貸す場合は、契約期間の終了時期を揃えた定期借家契約を結ぶことが非常に重要になります。
- 転貸(サブリース)の承諾を求められた時
- 借りているテナントから、さらに別の第三者に転貸したいと相談されることがありますよね。
- その際の条件として、転貸先との契約を定期借家契約にすることをお勧めします。
- こうすることで、もし貸しているテナントが退店しても、その転貸先が居座ってしまうというトラブルを避ける効果があります。
- 家主様が建築など多額の投資をする時
- 家主様が店舗の建物を建築するなど、大きな投資をする場合、そのリスクを回避する方法として、「建設協力金」をテナントから預かり、それにペナルティをつけるのがベストです。
- しかし、テナントが建設協力金を用意できない場合などには、定期借家契約で途中解約をできなくすることも検討できます。これは、投資回収を確実にするための一つの方法と言えるでしょう。
まとめ
定期借家契約は、家主様にとって非常に有利な契約形態ですが、テナント誘致のハードルを上げる可能性も秘めています。そのため、むやみに乱用するべきではありません。
しかし、複合店舗、転貸、そして家主様による多額の建築投資といった特定の場面では、定期借家契約はトラブルを回避し、計画的な土地活用を進めるための強力なツールとなります。
ご自身の状況に合わせて、定期借家契約を賢く活用するかどうか、ぜひ検討してみてくださいね!
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