事業用定期借地権で土地活用されている地主様、そしてテナント様、契約満了が近づいてきて「さて、これからどうしよう?」と悩んでいませんか?今回は、契約満了を迎える事業用定期借地権について、地主様とテナント様の両方の立場から、契約の継続や更新に関するポイントを解説します。
事業用定期借地権とは?その歴史と契約期間
事業用定期借地権は、1992年の借地借家法改正により定められた制度です。当時、契約期間は10年以上20年以下と定められていました。しかし、2008年の法改正によって、契約期間は10年以上50年未満に延長されています。この制度が始まってから約29年が経過し、当時契約された多くの物件がすでに満了を迎えているか、これから満了を迎えようとしており、その後の対応が大きな課題となっています。
「定期」借地権の原則:「延長はできません!」
名称に「定期」とある通り、事業用定期借地権は契約期間の延長ができません。たとえば、20年間の契約を結んでいた場合、20年が経過すれば契約は終了するのが原則です。
しかし、現実には…地主もテナントも「継続したい」!
テナントの立場からすると、20年間もそこで営業してきたのに、契約期間が満了したからといって簡単に閉店しようとは考えにくいものです。多くのテナントは、その後もその場所で営業を続けたいと望んでいます。同様に、地主様も20年間テナントに土地を貸してきて何も問題がなかったのなら、このまま借り続けてほしいと考えるのが一般的でしょう。
つまり、地主様とテナント様双方ともに契約の継続を強く望んでいるにもかかわらず、制度上は「延長ができない」という問題が事業用定期借地では多く発生しているのです。
では、どうする?現実的な選択肢は「再契約」
「延長」ができないとなると、次にとるべき手段として考えられるのが**「再契約」です。実際に、多くのケースでこの「再契約」という形が取られています**。 しかし、ここで一つ注意点があります。現在の借地借家法では、事業用定期借地は10年以上でないと再契約できません。地主様もテナント様も「あと2、3年だけ延長したい」と短期の継続を望むことが多いのですが、法律の規定により10年以上の再契約が必要となり、双方の希望がストレートには叶えられないというジレンマを抱えることになります。
「契約期間の変更」というグレーゾーン
「延長」が無理ならば、「契約期間を途中で変更する」という考え方はどうでしょうか? これは、地主様とテナント様当事者同士の合意によって、当初の契約期間を後から変更することで、実質的に延長と同じ効果を得ようとするものです。実際に、公正証書で契約期間の変更を行った例も存在するとされています。
しかし、この「契約期間の変更」という方法は、**現状では「グレーゾーン」**とされています。過去に事業用定期借地で契約期間の変更を試みた際も、契約直前に公証人から「契約期間の変更ではなく、再契約ということにしましょう」と提案され、結果的に20年間の再契約を選択したことがあります。
まとめ:契約終了は稀、継続がほとんど
事業用定期借地の契約期間満了をもってテナントとの契約が完全に終了するケースは非常に少ないです。再契約という形をとるにしろ、実質的な「契約期間の変更」を模索するにしろ、ほとんどのテナントが継続を希望しているのが現状です。
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