ロードサイド店舗の賃貸借契約は、一般的なテナントビルや居抜き物件とは異なり、長期契約が前提となります。特に「中途解約」は、家主様にとってリスクが大きいため、契約書の内容をしっかり交渉することが重要です。
1. 予告期間は「長ければ長いほど吉」!
中途解約の最初のポイントは、「予告期間」です。 契約書には「6ヶ月前」などと記載されていることが多いですが、家主様にとっては長ければ長いほど良いとされています。
- 家主様側のメリット:
- 次のテナントを探すための十分な時間を確保できる。
- もし敷金や建設協力金の返還が必要な契約であれば、その資金を準備する期間を確保できる。
- 一般的な目安:
- テナントビルや居抜き物件: 2ヶ月〜3ヶ月
- 新築のロードサイド店舗: 3ヶ月〜6ヶ月
2. 「形だけの双務契約」に惑わされない!
契約書には、家主からもテナントからも中途解約ができる、という**「双務契約」**の形式がとられていることが多いです。これはテナント側が、家主からも解約できる条文を入れることで、自分たちの中途解約を認めさせようとする交渉術だと考えられます。
しかし、実際のところ、「借地借家法」によって借家人は強く守られているため、家主様からの一方的な解約はほぼ不可能だと考えてよいでしょう。この点も理解した上で、交渉に臨むことが大切です。
3. 新築店舗では「ペナルティー」の設定が必須!
新築のロードサイド店舗の場合、テナント側の都合による中途解約には**「ペナルティー」を設ける**のが一般的です。これは、家主様がテナントの希望通りに建物を建築しているため、当然のことだとされています。テナントビルや居抜き物件ではあまり見られない点です。
- ペナルティーの例:
- テナントが、建設協力金の残額の返還請求権を放棄する。
- 建設費用全額を違約金として設定する。
もしテナントがこのペナルティーを認めない場合、契約自体を見送ることも検討すべきです。
4. 要注意!「ペナルティーの例外条項」は極めて不利!
中途解約のペナルティーに関して、家主様にとって**「非常に不利な契約」となるのが、「ペナルティーの例外」**に関する条項です。
具体的には、「テナントが代替テナント(次のテナント)を紹介し、その代替テナントと家主の間で賃貸借契約が締結された場合、違約金は発生せず、家主は建設協力金の残額を返還する」といった条文です。
この条文が付いている場合、ペナルティーは無いも同然だと考えられます。なぜなら、代替テナントを探すのは本来、家主様の仕事だからです。このような条文をテナントがどうしても主張してくる場合、そのテナントは「家主様に自分の希望通りの店舗を建築させる責任がないと考えている」とさえ言えます。
もしこの条文をどうしても削除できないようなテナントであれば、契約しないことも真剣に考えるべきです。
まとめ
中途解約に関する契約書の取り決めは、家主様にとって最も大切な部分の一つです。経験豊富なテナントは、様々な交渉術を知っており、時には家主様への「ごまかし方」も巧妙になっている可能性があります。
しかし、テナントが本気で出店を考えているのであれば、この中途解約の部分で柔軟な対応をしてくれるはずです。もし中途解約の条件に柔軟に対応できないテナントであれば、出店に対して前向きではないと考えることもできるでしょう。
家主様も気をつけながら、慎重に交渉を進めてください。
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