ロードサイド店舗での土地活用にご興味のある地主様、または現在交渉中の方へ。賃貸借契約書の交渉では、ついつい賃料ばかりに目が行きがちですが、実は賃料と同じかそれ以上に大切な要素があります。それが「建設協力金」です。
今回は、この建設協力金について、その重要性とリスクを抑えた土地活用のための交渉術を詳しくご紹介します。
建設協力金って何?なぜそんなに重要?
建設協力金とは、テナント側から預託される資金で、店舗の建築費用に充てられるものです。地主様にとって、これが賃料と同じくらい、いやそれ以上に大切だと言われるのは、自己資金を必要とせずに店舗建築が可能になるからです。
自己資金を出さずに済むということは、万が一テナントが短期間で中途解約した場合でも、建築費の回収ができないという非常に高いリスクを回避できることに直結します。つまり、建設協力金は、事業リスクを軽減し、リスクの少ない土地活用を実現するための重要な要素なのです。
建設協力金の3つのパターン
建設協力金の金額には、主に以下の3つのパターンがあります。
- パターン1:建築費 = 建設協力金
- 地主様にとって最も理想的なケースです。自己資金を全く出す必要がありません。
- パターン2:建築費 = 建設協力金 + 敷金
- 敷金は一括返還されることが多いですが、建設協力金は毎月均等返済されるという返還方法の違いがあります。しかし、どちらも自己資金を必要とせず、リスクの低い土地活用という目的は達成できます。
- パターン3:建築費 > 建設協力金 + 敷金
- この場合、地主様が自己資金を出す必要があります。このケースが最も問題になる可能性を秘めています。
自己資金を出すリスクと注意点
パターン3のように地主様が自己資金を出す場合、特に以下の点に注意が必要です。
- 店舗の種類と再利用の可能性
- 居抜き店舗として再利用しにくい店舗に自己資金を出すのは慎重になるべきです。例えば、以下のような店舗です。
- 飲食店舗
- 敷地に対して建ぺい率が50%以下の小さい建物
- ピロティー形式(1階が駐車場で2階に店舗があるような建物)
- これらの店舗は、テナントの退店後に新しいテナントが見つかりにくく、自己資金の回収が困難になるリスクがあります。
- 居抜き店舗として再利用しにくい店舗に自己資金を出すのは慎重になるべきです。例えば、以下のような店舗です。
- 建築費の適正性
- 実は、テナントが十分な建設協力金や敷金を預託しているにもかかわらず、建築会社が異常に高い建築費を設定しているケースが非常に多く見られます。特に、建築会社がテナントを紹介するような場合にこの傾向が見られます。
- この場合、地主様は自己資金を出さざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。
賢い交渉術:テナントだけではない交渉相手
自己資金のリスクを避けるためには、単にテナントと建設協力金や敷金の金額だけを交渉するのではなく、別の重要な交渉相手がいます。それは「建築会社」です。
複数の建築会社を比較検討し、適正な建築費を交渉することが非常に重要です。これにより、テナントからの預託金だけで建築費をカバーできる可能性が高まり、地主様の自己資金負担をなくす、あるいは大幅に減らすことができます。
まとめ:リスクを減らし、資産を増やすために
賃貸借契約書の交渉は、賃料だけでなく、建設協力金や敷金といった「預託金」の交渉も非常に重要です。これらの預託金は、地主様の自己資金を少なくし、万が一の中途解約時の事業リスクを軽減することに直結します。
今後、ロードサイド店舗で土地活用をお考えの方は、ぜひこの「建設協力金」の概念を深く理解し、テナントだけでなく建築会社とも賢く交渉を進めてください。それが、あなたの資産を守り、増やしていくための確かな一歩となるでしょう。
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