今回は、これからの土地活用や空き店舗のテナント付けを考える家主様・地主様にとって、非常に注目すべきテーマについてお話ししたいと思います。それは、「福祉関係施設」をテナントとして迎えるという選択肢です。
かつては商業系のテナントが主流でしたが、今やデイサービスや保育所などの福祉関係施設の需要が年々高まっており、居抜き物件のテナントとしても増えてきています。では、家主様が知っておくべきポイントは何でしょうか?
1. 「福祉関係施設」ってどんなもの?
まず、「福祉関係施設」とは具体的に何を指すのでしょうか? 建築基準法では「児童福祉施設等」とされており、高齢者施設もこれに含まれます。 家主様の活用例として代表的なのは、以下の施設です:
- 保育所
- 老人デイサービス
- 有料老人ホーム
- 認知症高齢者グループホーム
- 障害者グループホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
これらの施設は、単純に不動産仲介業者が賃貸契約を結べばすぐに開業できるわけではありません。家主様側でいくつかの対応が必要になります。
2. 最重要ポイント!「用途変更の確認申請」
福祉関係施設は、建築基準法上「特殊建築物」に分類されます。そのため、コンビニやファミレスなどの居抜き物件を別の用途(福祉施設)に変更する場合、床面積によっては「用途変更の確認申請」が必要になります。
- 床面積が200平米(約60坪)を超える場合は、用途変更の確認申請が義務付けられています。
- 「60坪」という数字は、コンビニが60坪以下、ファミレスが60坪以上であることが多いという微妙なラインです。具体的な話がある場合は、必ず建築確認申請の図面で確認することが重要です。
3. 消防設備にも注意が必要!費用負担と責任の分担を明確に
社会福祉施設は、都道府県条例によって必要な消防設備を設けることが義務付けられています。対象となる面積や分類の仕方が、建築基準法と消防法では異なるため注意が必要です。
具体的には、自動火災報知機、消火器、火災報知機、スプリンクラー設備、避難誘導灯などの設置が義務となります。 さらに、これらの設備の設置義務とは別に、点検・報告の義務もあります。これらの費用負担や責任の分担については、家主様とテナントの間で明確に取り決めをしておくことが非常に重要です。
4. 高い賃料相場が期待できる?
家主様の視点から見て、福祉関係施設は賃料面でも魅力的です。特に保育所とデイサービスは、ロードサイドの居抜き物件を高く評価してくれます。
その理由は、利用者送迎のための駐車場が確保されていることと、建物が目立つため利用者を募集しやすいことの2点です。 これにより、一般の事務所などと比較して、賃料相場が高い傾向にあります。
まとめ
福祉関係施設は、今後ますます需要が高まっていくと予想される分野です。空き物件の活用を考える家主様にとって、単なる収益物件としてだけでなく、地域社会への貢献にもつながる、まさに一石二鳥の選択肢と言えるでしょう。
新しいテナントの形として、福祉関係施設を検討する際は、用途変更の申請や消防設備の設置義務、そして費用負担の明確化といったポイントをしっかり押さえることが成功の鍵となります。
まるで、使われていない土地に種をまき、水やりをして育てるように、適切な知識と準備があれば、空き物件が地域に必要とされる施設として大きく花開く可能性を秘めているのです。
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