【知らないと損!】まだそこにあるアスベストの真実と物件選びの注意点

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今回は、私たちが普段暮らしている建物やこれから借りよう、買おうとしている物件に潜むかもしれない、見えざる危険「アスベスト」についてお話ししたいと思います。 「アスベストはもう過去のもの」と思っている方もいるかもしれませんが、実は今も多くのアスベスト使用物件が存在するんです。

アスベストって何?どんな特性があるの?

アスベストは「石綿(せきめん)」と呼ばれる鉱物繊維のことです。 「安価でありながら耐久性や耐熱性に優れている」という素晴らしい特性を持っていたため、以前は建築資材として非常に多く使われていました。その他にも、耐熱性、高張性、保温性、防音性といった特性も兼ね備えていました。

なぜ危険なの?

しかし、この便利なアスベストが、私たちに深刻な健康被害をもたらすことが判明しました。 アスベストの繊維は非常に細く、軽いんです。そのため、空気中に飛散しやすく、人が吸い込んでしまうと肺に残り、数十年という長い潜伏期間を経て、肺がんなどの病気を発病すると言われています。発がん性があることが明らかになったため、現在は使用が制限されています。

どんな場所に使われていたの?

アスベストは、その優れた特性から多様な用途で使われていました。特に多いのは以下の3つの形です。

  • 吹き付け建材として: セメントなどと混ぜて、鉄骨の梁や柱、天井、空調機械室、ボイラー室、エレベーター機械室など、鉄骨や鉄筋の建物に吹き付けて使われていました。
  • 保冷材・保温材として: 接着剤と混ぜて様々な形に加工され、工場や化学プラントなどで使用されていました。
  • 成形板として: セメントなどと混ぜて板状に成形・乾燥させたもので、木造・鉄骨・鉄筋建築や工場などで使われていました。

物件購入・賃貸で一番重要な「築年数」の目安

アスベストの使用は段階的に制限されてきました。そのため、建物の築年数でアスベスト使用の有無をある程度判断することができます

  • 1975年: アスベスト含有率が5%を超える吹き付け施工が原則禁止に。つまり、1975年より前に建てられた建物は、アスベスト使用の可能性が高いです。
  • 1995年: 労働安全衛生法が改正され、含有率1%を超える吹き付けが禁止に。
  • 2006年: 再び労働安全衛生法が改正され、アスベスト含有率0.1%を超えるものの製造・輸入・使用が全面的に禁止されました。
  • 結論として、2006年以降に建てられた建物には、基本的にアスベストは使われていないと考えて良いでしょう。
  • 逆を言えば、2006年より前に建てられた建物には、アスベストが使用されている可能性があります

さらに、「吹き付け材」に限って言えば、1975年以降は「吹き付けロックウール」に切り替わりましたが、1989年頃までは石綿が混ぜられて使用されていました。 したがって、築32年以上、つまり1989年以前の建物であるかどうかが、吹き付けアスベスト含有の有無を判断する上での大きなポイントとなります。

不動産業者の説明義務の「落とし穴」

さて、物件を借りたり買ったりする際、「この建物にアスベストは使われていますか?」と聞きたくなりますよね。しかし、実はここに重要なポイントがあります。 宅建業者は、購入者や借主に対して、「この建物にアスベストの使用調査を行ったかどうか」を重要事項説明書で伝える義務があります。 これは、「アスベストが使用されているかどうか」を伝える義務ではないのです。 つまり、古い建物でアスベスト使用の可能性が高くても、調査をしていなければ「調査していません」と伝えるだけで、売却や賃貸ができることになります。これは、私たち借りる側、買う側からすると大きな落とし穴になりえます。

素人には見分けが難しい!特に注意すべきポイント

残念ながら、アスベストが使われているかどうかを素人が見た目で判断するのは大変難しいのが現状です。今でも、鉄骨の建物にはアスベスト以外の吹き付け材が使われており、見た目では区別がつきません。 だからこそ、私たちができる対策は、「築年数」に注目し、慎重に判断することです。特に、築32年以上(1989年以前)の建物、そして2006年以前の建物については、アスベスト使用の可能性を念頭に置くべきでしょう。 住居として利用するケースはもちろんですが、店舗として使用する場合も、業種によっては非常に重要な問題となる可能性がありますので、十分に注意してください。

まとめとアドバイス

アスベストは、目に見えない形で建物の安全性を脅かす存在です。 物件を選ぶ際は、まるで**「タイムカプセルを開ける」**ように、その建物の歴史(築年数)をしっかり確認することが大切です。特に古い建物ほど、過去の建築基準や使用されていた材料が今の基準と異なる可能性があるため、より一層の注意と、必要であれば専門家への相談を検討してください。

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