店舗物件を貸しているオーナー様や、これから出店を考えている方にとって、「居抜き」や「造作譲渡」は非常に馴染みのある言葉ですよね。しかし、ここ数年でこの界隈の「常識」が大きく変わっていることをご存知でしょうか?
今回は、かつて大流行した「造作譲渡」の現状と、今どきのテナントが何を求めているのかについて解説します。
そもそも「造作譲渡」とは?
本来、テナントが退店する際は、契約に基づき内装や設備をすべて撤去して「スケルトン」状態で返却するのが基本です。 これに対し、「造作譲渡」とは、退店するテナントと次に入るテナントが話し合い、厨房設備や内装などを有償で売却することを指します。
15年前の「居抜きブーム」と成功モデル
約15年ほど前、「ステーキのけん」などの台頭により、ロードサイドの居抜き物件活用が一大ブームとなりました。
- テナントのメリット: 出店コストを大幅に抑えられる。
- 大家さんのメリット: テナント入れ替えのたびに発生する建築費などの出費を抑えられる。
当時は大手チェーン店もこぞって「造作が残っている物件」を探していた時代でした。
なぜ今「造作譲渡」は行われなくなったのか?
かつては大流行した造作譲渡ですが、現在ではほとんど行われていません。 その主な理由は、前テナントの設備をそのまま利用するビジネスモデル(ステーキのけん等)の多くが、結果的にあまり上手くいかなかったことが背景にあるようです。
最近(ここ5年ほど)の傾向としては、以下の変化が見られます。
- 有償譲渡から無償利用へ: 設備を買い取るのではなく、残されたものを無償で使うケースが増えた。
- スケルトン回帰: 設備が残っていても、あえて「撤去してスケルトンにしてほしい」と要望するテナント(特に大手チェーン)が増加している。
- ※ただし、**空調設備(エアコン)**に関しては、今でもそのまま利用したいというニーズが根強く残っています。
大家さんが直面する「究極の選択」
この変化により、大家さんは難しい判断を迫られるようになりました。
- 設備を残した場合: 次のテナントが見つかりやすくなる可能性がある一方で、もし新しいテナントから「スケルトンで貸してほしい」と言われた場合、大家さん側の負担で撤去費用を出さなければならないリスクがあります。
- スケルトンに戻させた場合: 契約通りではありますが、初期投資を抑えたいテナントを逃してしまうかもしれません。
まとめ
かつての「造作を売ってお得に退店、安く出店」という時代は終わりつつあります。 現在のロードサイド店舗では、テナント側のニーズが「居抜き」から「スケルトン」へと再びシフトしており、大家さんにとっても、原状回復をどう進めるべきか、より慎重な判断が求められる時代になっています。
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